山口県周南市の山間部に建つ夫婦のための終の住処。東にバスが通る道路、西に畑や住宅、南北を住宅に挟まれた敷地で、ぱらぱらと住宅や畑が存在する田舎です。クライアントはもともと住宅の密集した地域にお住まいで、自然豊かな住まいと、太陽のリズムの中での生活を希望されていました。
朝太陽が昇ったとき、やわらかい光に包まれて目覚め、生活できる住宅を考えました。柔らかい光を取り入れる方法として型ガラスやFRP、ポリカーボネートなども候補となりましたが、コストの面から採用には至らず、身近で安価な素材として、小学校の体育祭などで使用されるテントを外壁として利用することにしました。テントは日差しも雨もしのぐことができ、それ自体に断熱効果があり、柔らかい光も取り入れられます。
間柱の間に光を透過できる断熱材を充填し透湿防水シートで覆い、縦胴縁の上に外壁であるテントを留め、FBによりテントのジョイント部を押さえています。テントを留める縦胴縁は通気層となっており、空気を自然に対流させ快適な内部空間となっています。
内壁には布を採用し、縦胴縁で布をパネル状にし施工しています。内壁から外壁を構成する材料はどれも光を透過するものを採用し、住宅内部に柔らかな光を届けることを可能にしました。シンプルな木造在来軸組工法です。
夜には建物内部の光が柔らかく外部にこぼれ、周辺に柔らかい光をそそぎます。田舎の車のヘッドライトと開口部からの小さな明かりの寂しい風景に、この住宅は優しい灯火ともなります。西側に大きな窓を設け、そこからは緑が天井や床に反射して移りこみ、さまざまな風景をつくり出します。どこにいても自然をやさしく感じることができる住宅を目指しました。